fc2ブログ
2010年1月頃、システムエンジニアからフリーランスの実務翻訳者へ転向。 翻訳者として日々出会うであろう、お仕事・生活・人・手続き・幸せ・苦労・雑感などを、 一歩一歩記録していくブログです。
art と science
2010年03月22日 (月) | 編集 |
ソフトウェアマニュアルの説明で、次のような表現がありました。

- XXX is more of an art than it is a science.

表現としては、
more art than science
という使い方が一般的なようですね。
(more science than art もある)

ネット上では、art - science の順で

・芸術 - 技術
・アート - サイエンス
・勘 - 論理

などの訳があるようなのですが、どうも art の訳の方がピンときません。


上記の表現の XXX には、「パフォーマンスの見積もり」のような意味の
内容が入ります。

システム開発・運用では、長期運用を見越して事前にさまざまなパフォー
マンス要件(同時ユーザー接続数、必要なメモリ容量やディスク容量など)
を見積もります。

マニュアルでこの後、開発会社がベンチマークをもとに見積もった
パフォーマンスに関する計算式や具体的な数値が示されるのですが、
「この数値はあくまでも目安で、実際の数値はシステムが稼働する
 それぞれの環境で異なることがありますよ」
ということを何度も念押ししています。

最終的にはそれぞれの環境に合わせて、独自にパフォーマンス要件を
割り出す必要がありますよ(こちらで責任は取れない、ということを
暗に示している)、ということですね。

そういう意味では art はこの文脈ではもちろん「芸術」ではないし、
「勘」はいつでも誰でも見積もりをできそうに感じるという点で、
多少乱暴な気がします。


自分が日本語でこのマニュアルを書くとしたら「経験に基づく」とか
「実践が必要」という書き方をすると思いますので、このあたりから
適切な訳語を考えたいと思います。


この章は、ソフトウェアのマニュアルらしからぬ
「we believe ...」などの表現もあり、
開発会社側がパフォーマンスの基準をユーザーに提示する難しさを
感じました。

スポンサーサイト



テーマ:SOHO・在宅ワーク
ジャンル:ビジネス